銅造弁財天坐像

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銅造弁財天坐像

  • 銅造弁財天坐像

■所在地佐賀市諸富町大字為重 安龍寺
■文化財指定状況佐賀市 重要文化財
■文化財指定日昭和57年4月1日
■登録ID5201

弁才天は古代インドの五河地方の川の女神で農業神として崇崇された。のちに音楽神と知恵の神に転じ、さらに鎌倉時代以降は福徳神の性格が強くなり、七福神の一員に加えられた。
安龍寺の弁才天坐像は、像高57センチメートルで宝冠を被り、輪光背をつけ結跏趺坐をした像である。金光明経に説かれている8臂の弁財天像で、頭頂には鳥居と人頭蛇身の宇賀神を置き、宝珠と輪宝と雲文であしらった宝冠をかぶっている。髪にかかる前髪は耳の中ほどを通して後部の髪とまとめ、冠紐とともに両肩に垂れかかる。面相は福神にふさわしく弧を描く眉は三日月形に眉尻を下げ、目を細め、口元をゆるめて微笑する。
体部についてみると、8手のうち右側4本の手には宝剣、宝箭(ほうせん)、宝棒、羂索(けんさく)、左の4本の手にも宝珠、宝弓、輪宝、宝斧の順に持物をもたせている。両肩前に各1ヵ所、腹前に各1カ所、腹前にはくくった腹帯に沿って3ヵ所に瓔珞(ようらく)を懸け、体をにぎやかにしている。
本像の鋳像技術は確かで安定しており優れたできばえを示している。近世の鋳銅像はその殆どが戦中供出されて遺例が見当たらず、当時の信仰は勿論造像の技術について知る機会を得なかった。本像はそれを知る資料として貴重である。