さかもり(春祈祷)

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さかもり(春祈祷)

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2267

 4月の末ごろから5月の始めごろにかけてこの行事が行われた。普通は順番に当事者をきめて行われたが、若者組では新婚の者や長男が生まれた家が臨時に当事者になった。酒宴は2、3日から長い時は1週間にもわたる盛大なもので、打上げの日は村の主婦たちが仮装行列をし、音曲を奏し歌や踊りでにぎやかに繰り出した。また、この日地区の子どもたちには「たけのこ握り飯」を振舞うので大変な騒ぎであった。この行事は、農家ではこれからいよいよ麦刈りや田植えが始まり、1年中で最も多忙で骨折る時期でこれを「ごんがつ」といい、そのごんがつに備えるための体力作りであったらしい。もちろん、春祈祷だから昔は五穀豊穣を祈ったものだったが、いつの間にか単なる酒宴のみとなり昭和の初めごろまで続いた。今山地区では打上げの日に「しいど流し」といって川さらえをし大饗宴の幕を閉じたという。
 今山地区には次のような「さかもりの唄」が歌われていた。
 ○酒でさかもりやたびたびござるのー お茶でさかもりゃ今が初のー
 ○シャンス(相思の人)持つなら北から持ちゃれ たとえ来んてちゃきたとなる
 ○竹に虎とは昔のことよ 今の若衆は鍋にだらのー(料理屋で飲食する遊蕩児)

出典:大和町史P.638