鍛冶屋の牛蒡(ごぼう)・桑畑

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鍛冶屋の牛蒡(ごぼう)・桑畑

■所在地佐賀市東与賀町
■年代近代
■登録ID1108

鍛冶業が営まれていた頃、鍛冶屋の畑地に牛蒡を広く栽培していた。この地区で生産した牛蒡は他に比べて甘味があり柔らかくて大好評であった。これは鍛冶屋さんが捨てた鉄くずや石炭がらが土壌の成分を良くし牛蒡によい地味となったものと思われる。その当時「鍛冶屋のごぼう」といって評判がよく高く商品化され値段もよかったとの記録がある。今日でも古老の井原保美は「あの鍛冶屋ごぼうの味は舌に残って忘れられない」としきりに賞讃する。
牛蒡の外にこの地区では、桑を栽培し桑の葉の産地でもあった。この地域一帯は昔、東与賀町内でも一段と高い台地になっていて「島の内」とも呼ばれていたという。このことは郷村帳与賀下郷の中の「実久村」の中に、鍛冶屋・上町と「島の内」の名が出ている。この小高い島全体に桑の木が繁茂し、養蚕時にはその葉っぱが売却されて、相当の金額に上ったらしい。ところが本県の絹織物業が衰亡しこの養蚕がすたれた年代から鍛冶屋の桑畑も伐採され切り取られてしまった。同時に高値であった桑畑もその土壌や泥土は削りとられて、現在の佐賀市佐嘉神社前の南側駐車場の埋め立てに使われたり、近くは東与賀町内や近隣の家建築の際等の壁泥に売却されたりしたのである。

出典:東与賀町史P1161