夏祗園

夏祗園

■所在地佐賀市東与賀町
■登録ID1101

龍王宮と天神社の大前で盛観を極めたのは夏祗園である。この祗園祭には男子が成人して青年団に入団すれば、1個の大提灯を神前に献燈するという掟があった。その大提灯には牡丹に唐獅子が画かれており、これに火を灯すと勇壮華麗な絵が浮き出て、将来の出世と活躍を表明するわけである。参道には出店が並び子ども心を誘う大小さまざまの凧(とうばた)やおもちゃ、それに氷店や菓子店等が所せましと陳列された。
境内には数日前から舞台作りがなされ、昔の臼やばんこと共に茣蓙(ござ)やむしろも敷かれて、にわかに野外劇場が完成するのである。踊りのけい古もその1か月前からの練習で、以前は男に限られていたが、後には女子青年等も加わり中老年の男女が競って毎晩楽しんでやった。しかし昼の農作業の後での稽古であるだけに相当の苦労もあったが、お祝儀を戴いたり拍手を浴びるとまた喜びもひとしおであった。

出典:東与賀町史P1155