部落は一家族 

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■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID101

野田地区は、お寺を入れて九軒の集まりである。親たちの年齢、子供たちの年齢、世情も同じ位で、特別に目立った家はない。 部落内に店がなく、荻野の蒲原店や徳万町まで買い物に行かねばならぬ。醤油のなか、ソースのなか、あーら米の撫でたのがなか、塩のたらん、お金のなかと、日常生活で不自由なことがあっても、走って隣の家に走り込めば、十分たりた。子供は、遊び先で食事の時間になれば、「おふん舞い、うけんね」。遠慮なくお世話になった。お彼岸が近づくと、おはぎ、ぼたもち、皆んなの家に配り、日を変えて、家にも配って貰った。配るのは楽しみだった。「あんたがきたね」と、小遣賃を貰った。「ただいま」 と学校から帰ったら、一番先に見るのは、仏さん棚である。何んか配ってきていないかな。あるある仏さん棚に。すぐ何だろうと見に行く、早う食べたいと、うきうきしていた。野田は、よかとこ。

出典:野田のよもやま P.30